年暮る
《年暮る》1968(昭和43)年制作・東山魁夷60歳
紙本・彩色 100.0cm×73.0cm/山種美術館 蔵
しんしんと雪は降る
京の街に、しんしんと雪は降る。
遠く、近く、おごそかな鐘の響き———
一つ一つの屋根の下に、
人それぞれの思いを籠めて、
年が逝き、年が明ける。
『自然の中の喜び・冬/講談社』
年を送り年を迎えるこの時に、多くの人の胸に浮かぶであろう、あの気持ち。
去り行く年に対しての心残りと、来る年に対してのささやかな期待。
年々を重ねてゆく凋落の想いと、いま、巡り来る新しい年にこもる回生の希い。
「行き交う年もまた旅人」の感慨を、京の旅の上で私はしみじみ感じた。
そして、私の京の旅は終わった。
『京洛四季/新潮社』