絶望と希望の織り交ざる一筋の道

道

1950(昭和25)年/東京国立近代美術館

 これは昭和25年の作で、その十数年前に青森県八戸の種差海岸にある牧場で写生したスケッチからヒントを得て描いた作品である。制作に際し、どうしてももう一度あの場所に行ってみたいと思い、上野を発った。

 十数年前の道はかなり荒れてはいたが、昔のままの姿を見せ、向こうの丘へと続いていた。「やはり来てよかった」と私は声を出して言った。夏の朝早い空気の中に、静かに息づくような画面にしたいと思った。この作品の象徴する世界は私にとって遍歴の果てでもあり、また、新しく始まる道でもあった。それは、絶望と希望を織り交ぜてはるかに続く一筋の道であった。

 

(東山魁夷『東山魁夷/日本経済新聞社』より)

東山魁夷記念一般財団法人
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