樹々の管弦楽を背に白馬のピアノ旋律が疾る

緑響く

1982(昭和57)年/長野県信濃美術館・東山魁夷館

一頭の白い馬が緑の樹々に覆われた山裾の池畔に現れ、画面を右から左へと歩いて消え去った——そんな空想が私の中に浮かびました。私はその時、なんとなくモーツァルトのピアノ協奏曲の第二楽章の旋律が響いているのを感じました。

 おだやかで、ひかえ目がちな主題がまず、ピアノの独奏で奏でられ、深い底から立ち昇る嘆きとも祈りとも感じられるオーケストラの調べが慰めるかのようにそれに答えます。

 白い馬はピアノの旋律で、木々の繁る背景はオーケストラです。

 

(東山魁夷『東山魁夷館所蔵作品集Ⅰ/信濃毎日新聞社』より)

東山魁夷記念一般財団法人
緑響く
東山魁夷記念一般財団法人
東山魁夷記念一般財団法人 緑響く
東山魁夷記念一般財団法人
緑響く
東山魁夷記念一般財団法人
緑響く
東山魁夷記念一般財団法人