古都の風情

窓

1971(昭和46)年/長野県信濃美術館・東山魁夷館

 昭和44年、ドイツ、オーストリアの古都を四ヶ月半にわたって旅行しました。その旅で私の心を捉えたのは、古い家々の壁と窓でした。長い年月を経た壁の色、そこに設けられた小さな窓の素朴な趣。窓の下に何気なく造られた粗末なベンチ。それだけで充分絵になるテーマです。

 この旅でのスケッチの中から帰国して二年後の日展への出品作として描いたものです。日本画の場合、外国の建築を題材にするのは絵の具の性質上いろいろと不適当とも考えられるのですが、油絵と違って鉱物から作る絵の具を膠(にかわ)の溶液で溶いて、画面に塗るという日本画の技法で試みることも、又、興味深いと思いました。

 

(東山魁夷『東山魁夷館所蔵作品集Ⅰ/信濃毎日新聞社』より)

東山魁夷記念一般財団法人
窓
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