明暗の襞と光影の綾

残照

1947(昭和22)年/東京国立近代美術館

 山並みは明暗の襞(ひだ)を重ねて、遥か遠くへ続いていた。その上には雲一つない夕空が、地表に近づくにつれて淡い明るさを溶かし込み、無限のひろがりを見せていた。人影の無い山頂の草原に腰をおろして、刻々に変わってゆく光と影の綾を私は見ていた。

 冬の九十九谷を見渡す山の上に在って、天地のすべての存在は、無常の中を生きる宿命において強く結ばれていることを、その時、しみじみと感じた。

 

(東山魁夷『画集東山魁夷/三彩社』より)

東山魁夷記念一般財団法人

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